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発注ラボ HATCHU LAB
補助金 #AI導入#補助金#助成金#人材開発支援助成金

AI導入に使える補助金・助成金の全体像|5制度の対象・上限額・採択率を比較

社内へのAI導入やAI研修に使える公的支援を、国の4制度と東京都の事例で比較します。補助率・上限額・採択率・事務負担を公式資料で確認し、補助金ありきの投資が損になる理由まで整理しました。

公開 約7分で読めます 発注ラボ 編集部

※補助金・助成金の制度は毎年変更されます。この記事は2026年9月23日時点で公開されている公式資料をもとに書いています。申請前には必ず公募要領の最新版をご確認ください。

社内にAIを入れたい。研修もしたい。ただ、いきなり数百万円は出せない。そこで補助金を探し始めた——という段階の方に向けて、使える可能性のある制度を公式資料で確認し、一覧にしました。先に結論を言います。AI導入に「AI専用の補助金」はほとんどなく、既存の制度にAIを乗せる形になります。どの制度も採択率は高くなく、申請後の事務負担も軽くありません。補助金が取れるかどうかで投資の可否を決めると、たいてい損をします。

AI導入に使える公的支援制度は大きく4系統ある

国の制度は、大きく次の4つに分かれます。どれもAI専用ではなく、「生産性向上」や「新事業展開」の枠組みの中でAIが対象になりうる、という構造です。

  • ソフトウェアを導入する:デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)
  • 設備投資を伴う開発をする:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • 小さく販路開拓と業務効率化をする:小規模事業者持続化補助金
  • 人を育てる:人材開発支援助成金(厚生労働省)

これに加えて、自治体独自の制度があります。東京都のように、国の制度より上限額が大きいものも存在します。

どの制度が、何に、いくら出るかを比較する

公式資料で確認できた範囲での比較です。金額と率は公募回ごとに変わります。

制度 主な対象 補助率・助成率 上限額
デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 事務局登録済みソフトウェア(AIを含む)、導入関連費 1/2以内(一定の低賃金要件で2/3以内) 450万円以下(4プロセス以上)、150万円未満(1プロセス以上)
ものづくり補助金 第23次 製品・サービス高付加価値化枠 機械装置・システム構築費(必須)、クラウドサービス利用費、外注費など 中小1/2、小規模2/3 従業員1〜5人750万円/6〜20人1,000万円/21〜50人1,500万円/51人以上2,500万円(下限100万円)
小規模事業者持続化補助金 一般型・通常枠 第20回 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費など 2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4) 50万円(インボイス特例+50万円、賃金引上げ特例+150万円)
人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース DX化等に必要な知識・技能を習得させるOFF-JT訓練の経費と賃金 経費助成 中小75%/賃金助成 1人1時間1,000円(中小) 経費助成限度額は受講者1人あたり30万〜50万円(訓練時間による)
東京都 DX推進トータルサポート事業 AI活用コース アドバイザーの提案書に基づくデジタル技術の導入・活用費用 2/3以内(賃上げ計画策定時は3/4以内、小規模は4/5以内) 2,000万円(大幅賃上げ枠は3,000万円)
東京都 中小企業デジタル導入促進補助事業 新規導入するデジタルツールの購入費と初期設定・保守等の関連経費 1/2以内(小規模企業者等は2/3以内) 150万円(申請下限5万円)

デジタル化・AI導入補助金2026:ソフトウェアを入れるなら最初の選択肢

2026年度から「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わりました。通常枠の補助率は1/2以内、補助額は1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下です。

重要なのは、補助されるのは事務局にITツールとして登録済みのソフトウェアに限られるという点です。公募要領ではソフトウェアにAIを含むと定義し、AI機能を搭載したソフトウェアは登録申請時に申告することとされています。区分は「生成AI」と「生成AI以外のAI技術(分類・分析・判断・予測等)」の2つ。裏を返せば、登録されていないサービスは、どれだけ有用でも申請できません。

ホームページ制作が原則対象外である点など細かい線引きは、補助金カテゴリの記事で個別に扱っています。申請要件にはGビズIDプライムの取得と、IPAの「SECURITY ACTION」の宣言が含まれます。

ものづくり補助金:設備投資を伴うAI活用に

第23次公募の製品・サービス高付加価値化枠は、補助下限100万円、上限は従業員規模に応じて750万円から2,500万円です。補助率は中小企業1/2、小規模企業・小規模事業者および再生事業者は2/3。補助対象経費は機械装置・システム構築費が必須で、技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費、外注費などが加わります。

注意点が2つ。単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わないものは補助対象事業に該当しないと公募要領に明記されています。また設備投資は必ず単価50万円(税抜)以上の機械装置等を取得する必要があります。AIツールを月額で使うだけの取り組みは、この枠には乗りません。

小規模事業者持続化補助金:小さく試すなら

一般型・通常枠の第20回は、補助率2/3、補助上限50万円。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされます。対象経費には機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費などが含まれます。

ウェブ系の費用には固有の制約があります。ウェブサイト関連費は単独では申請できず、必ず他の経費と一緒に申請する必要があり、この経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です。さらに、50万円(税抜)以上でウェブサイトやシステムを作成・更新した場合、それは処分制限財産に該当し、通常は取得日から5年間、処分が制限されます。第20回の申請受付締切は2026年12月15日(火)17:00の予定です。

人材開発支援助成金:AI研修の費用に使える厚労省の制度

厚生労働省の「事業展開等リスキリング支援コース」は、新規事業展開やDX推進に伴う人材育成を対象にした助成金です。中小企業の場合、経費助成75%、賃金助成は1人1時間あたり1,000円。受講者1人あたりの経費助成限度額は、訓練時間10時間以上100時間未満で30万円、100時間以上200時間未満で40万円、200時間以上で50万円です。

要件と制約は次のとおりです。

  • 訓練時間数が10時間以上であること、OFF-JT(事業活動と区別して行われる訓練)であること
  • 計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に管轄労働局へ提出
  • 支給申請は訓練終了日の翌日から2か月以内
  • eラーニング、通信制、定額制サービスによる訓練は経費助成のみで、賃金助成は対象外
  • 定額制サービスの経費助成限度額は受講者1人1月あたり2万円
  • 1事業所が1年度に受給できる助成額は1億円

対象労働者は雇用保険被保険者です。研修の設計そのものは社内AI研修の進め方にまとめています。

自治体のAI導入支援:東京都の例

自治体独自の制度は、国の制度より金額が大きい場合があります。東京都は令和8年度から「DX推進トータルサポート事業」を開始しました。アドバイザー派遣を受けた企業が、その提案書の内容に基づいてデジタル技術の導入費用の助成を受けられる仕組みです。AI活用コースの助成限度額は2,000万円(大幅賃上げ枠3,000万円)、助成率は2/3以内、賃上げ計画を策定する場合は3/4以内(小規模は4/5以内)。助成期間は2年間です。

ただし、この助成はアドバイザー派遣の採択が前提で、令和8年度の募集期間は4月6日から5月8日、AI活用コースの募集社数は10社です。金額の大きさだけで飛びつける制度ではありません。

より小回りの利く制度として、東京都中小企業振興公社の「中小企業デジタル導入促進補助事業」があります。助成率1/2以内(小規模企業者等は2/3以内)、助成限度額150万円。PC・タブレット等のハード機器や、OS・セキュリティソフト・表計算ソフトなど汎用性の高いソフトウェアは対象外です。令和8年度第1回の受付は終了し、第2回は令和8年9月頃の受付予定と公表されています。

自治体に同種の制度があるかは、都道府県・市区町村の産業振興部門か、地域の商工会・商工会議所に直接聞くのが早道です。

採択率と、申請後に残る実務負担

公表されている実数を見てください。

制度・締切回 申請数 交付決定・採択数
デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 1次 2,028 891
同 2次 1,879 819
同 3次 1,913 807
ものづくり補助金 21次 1,872 638
ものづくり補助金 22次 1,552 582
ものづくり補助金 23次 1,275 448

半分から3分の1程度です。そして採択された後に本番が来ます。

  • 交付決定前に契約・発注・支払いをすると、補助対象外になります。 決定を待つ間、発注できません。
  • 期限内に導入と支払いを終え、実績報告を提出し、額の確定を経てから入金されます。立替が前提です。
  • 交付後も効果報告が続きます。デジタル化・AI導入補助金では労働生産性などを複数年度にわたり報告します。
  • 書類の保管義務があります。デジタル化・AI導入補助金では、補助事業完了の日の属する年度終了後5年間です。
  • 財産処分に制限がかかります。ものづくり補助金の公募要領は、取得した財産の売却・転用・破棄等に制限が課され、処分時は残存簿価相当額または時価により補助金交付額を限度に国庫納付しなければならないとしています。

情シスのいない10〜30人規模の会社では、この一連の事務を総務担当者が抱えます。数十時間単位の工数です。その人件費を補助額から差し引いて、まだ得かを計算してください。

補助金ありきで不要な投資をすると損をする

補助率2/3の制度でも、自己負担は3分の1残ります。150万円の投資なら50万円です。補助金が出るからという理由だけで、本来必要でなかった150万円の買い物をしたなら、50万円の純損失です。 ここを取り違えると、制度が用意した以上の出費をすることになります。

正しい順番はこうです。

  1. いま何に、いくら払っているかを棚卸しする
  2. AIや業務ソフトで減らせる工数と費用を試算する
  3. 投資額と回収期間を、補助金ゼロの前提で計算する
  4. それでも実行すると決めたものについて、使える制度を探す

3を飛ばして4から入ると、ベンダーの提案がそのまま自社の計画になります。実質無償・キャッシュバックをうたう勧誘に乗ってしまうのも、この順番を間違えたときです。

まずは、AIで削減できる外注費と工数をAI活用でいくら減らせるかの試算ツールで概算してください。議事録作成や社内文書の整備など、補助金なしで今日から始められる領域は議事録のAI化社内文書のAI整備にまとめています。

この記事の要点

  • AI専用の補助金はほぼ存在しない。デジタル化・AI導入補助金、ものづくり補助金、持続化補助金、人材開発支援助成金という既存制度に、AIを乗せる形になる。
  • 研修費用なら厚生労働省の人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)。中小企業で経費助成75%、受講者1人あたり30万〜50万円が限度。
  • 自治体制度は国より手厚い場合がある。東京都のAI活用コースは上限2,000万円だが、アドバイザー派遣の採択が前提で募集社数は10社。
  • 採択率は半分から3分の1程度。交付決定前の発注は対象外、立替が前提、効果報告・5年間の書類保管・財産処分制限といった負担が残る。
  • 投資判断は補助金ゼロの前提で行う。補助金が出るからという理由で不要な投資をすれば、自己負担分がそのまま損失になる。

📎 参照した一次情報

数値は執筆時点の公表値です。制度・相場は変わります。契約前に必ず最新の一次情報をご確認ください。

よくある質問

Q 社内で使う生成AIの月額利用料は補助金の対象になりますか。
A

一般向けの生成AIサービスの利用料が、そのまま対象になるとは限りません。デジタル化・AI導入補助金2026で補助されるのは、事務局にITツールとして登録済みのソフトウェアに限られます。事務局のITツール検索で、導入したいサービスが登録されているかを先に確認してください。登録されていなければ、その枠では申請できません。また補助金は交付決定後に契約・発注したものが対象で、すでに使っている月額サービスの継続分は対象外になるのが通例です。判断に迷う場合は、各制度の公募要領と事務局窓口で確認してください。

Q AI研修の費用に使える制度はありますか。
A

厚生労働省の人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」があります。企業内のデジタル・DX化を進めるにあたり必要となる専門的な知識・技能を習得させる訓練が対象です。中小企業の場合、経費助成は75%、賃金助成は1人1時間あたり1,000円。受講者1人あたりの経費助成限度額は、訓練時間10時間以上100時間未満で30万円、100時間以上200時間未満で40万円、200時間以上で50万円。訓練が10時間以上のOFF-JTであることが要件で、計画届を訓練開始日の6か月前から1か月前までに労働局へ提出します。

Q 補助金は申請すれば通るものですか。
A

通りません。デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠では、3次締切分で申請1,913件に対し交付決定807件です。ものづくり補助金は23次締切で申請1,275者に対し採択448者でした。いずれも公式サイトで公表されている実数です。さらに、採択・交付決定はゴールではありません。期限内の導入と支払い、実績報告の提出、額の確定を経て、ようやく入金されます。その後も効果報告や書類保管の義務が続きます。資金繰りの計画は、補助金が入らない前提でも回る形にしておくのが安全です。

Q 補助金で取得した設備やシステムは自由に処分できますか。
A

できません。ものづくり補助金の公募要領には、取得した財産の売却・転用・破棄等の処分に制限が課され、処分する場合は残存簿価相当額または時価により、当該財産に係る補助金交付額を限度に国庫納付しなければならないと書かれています。小規模事業者持続化補助金でも、50万円(税抜)以上で作成・更新したウェブサイトやシステムは処分制限財産に該当し、通常は取得日から5年間、処分が制限されます。承認を得ずに処分すると交付取消・返還命令の対象になりえます。

Q 複数の補助金を同時に使えますか。
A

同一の経費に対して国の複数の補助金を重複して受けることは認められていません。デジタル化・AI導入補助金2026の申請要件にも、国や中小機構その他の独立行政法人の他の補助金等と重複する事業を補助事業の対象に含まないことが挙げられています。事務局は、同一内容でデジタル化・AI導入補助金とものづくり補助金の双方から受給する行為を不正行為として注意喚起しています。経費の区分が明確に分かれている場合の扱いは制度ごとに異なるため、必ず各事務局に事前確認してください。

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