本文へスキップ
発注ラボ HATCHU LAB
相場を調べる #クリニック#歯科#医療広告#相場

クリニック・歯科のホームページ制作費用の相場と医療広告ガイドライン

クリニックや歯科のホームページ制作費用が一般企業より高くなるのはなぜか。医療広告ガイドラインの限定解除要件、体験談やビフォーアフター写真の扱いを一次情報で確認し、規制対応が制作コストを押し上げる構造を分解します。

公開 約6分で読めます 発注ラボ 編集部

クリニックや歯科医院のホームページは、同じページ数の一般企業サイトより高くなります。デザインが特殊だからではありません。医療広告規制への適合確認という工程が、制作フローに追加されるからです

この記事では、公開されている料金表から費用レンジを確認したうえで、厚生労働省の医療広告ガイドライン原文にあたり、何が制作コストを押し上げているのかを具体的に分解します。ガイドラインは改正されるため、最終確認は必ず最新版の原文と所轄の保健所で行ってください。

クリニック・歯科のホームページ制作費用の相場

公開されている料金表を複数確認すると、歯科医院・クリニックのホームページ制作費はおおむね次のレンジに収まります。

タイプ 初期費用 月額 内容の目安
テンプレート型 10〜30万円 保守費のみ 用意された型に文章と写真を流し込む
セミオーダー型 30〜100万円 1〜3万円 一部オリジナルデザイン、予約導線の設計
フルオーダー型 100〜300万円 1〜5万円 撮影・取材込み、自由診療ページを複数
サブスクリプション型 0〜10万円 1〜5万円 初期費用を抑える代わりに契約期間の定めあり

一般的なコーポレートサイトの相場(ホームページ制作の相場と工程別の人日参照)と比べると、同じ規模帯でも上振れします。その差分が、次に見る規制対応の工数です。

なお初期費用が極端に低く月額が高いサブスクリプション型は、総額と契約期間を掛け算してから判断してください。契約構造はサブスク型ホームページ契約の仕組みで扱っています。

なぜ規制対応がコストになるのか

ウェブサイトが広告規制の対象になっている

医療機関のウェブサイトは、かつては「患者が自ら求めて閲覧するもの」として広告規制の外に置かれていました。しかし美容医療サービスに関する消費者トラブルを背景に、2018年6月の改正医療法施行により規制の対象になっています。

厚生労働省は監視体制としてネットパトロール事業を実施しています。令和7年度の資料(2026年2月28日時点)によれば、審査対象となった2,092サイトのうち1,842サイトで違反が確認され、違反件数は合計5,225件、1サイトあたり平均約2.8件でした。分野別では美容が803サイト、歯科が377サイトです。違反種類として最も多いのは「広告が可能とされていない事項の広告」で、限定解除の要件を満たさないまま広告可能事項以外の内容を掲載しているケースを指します。

つまり、規制は書いてあるだけでなく、実際に監視され、自治体への情報提供まで進む仕組みが動いています

制作工程に何が追加されるか

規制対応が入ると、通常の制作工程に次の作業が上乗せされます。

  • 掲載したい内容が広告可能事項に該当するかの仕分け
  • 自由診療ページごとの、治療内容・標準的な費用・治療期間・回数・リスクと副作用の記載設計
  • 写真素材の一枚ごとの可否判断と、必要な説明文の作成
  • 公開前のチェックと、院長・歯科医師による内容確認のやり取り

原稿の量が増え、確認の往復が増えます。工数にしてページ数に応じて数人日から十数人日の上乗せになり、これが金額差として現れます。見積書でこの部分がどう計上されているかを確認する方法は見積書を分解させる12の質問にまとめました。

広告可能事項の限定解除の4要件

医療法第6条の5第3項により、法や広告告示で認められた事項以外は広告できないのが原則です。ただし、患者等が自ら求めて入手する情報については、省令の要件を満たすことで限定を解除できます。ガイドラインが示す要件は次の4つで、いずれも満たす必要があります。③と④は自由診療について情報を提供する場合に限られます。

  1. 医療に関する適切な選択に資する情報であって、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
  2. 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会できるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
  3. 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
  4. 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること

②の問い合わせ先とは、電話番号やメールアドレスを指すとされています。③については、治療等の名称や最低限の治療内容・費用だけを紹介して誤認させるべきではなく、通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間及び回数を掲載することとされています。標準的な費用が明確でない場合は、最低金額から最高金額までの範囲を示すなどの対応が求められます。

なお、検索サイトのスポンサー枠や、費用を支払って検索結果の上位に表示させたものは①を満たさないとされています。未承認医薬品等を自由診療で使用する場合は、未承認である旨の明示、入手経路、国内承認医薬品等の有無、諸外国での安全性情報という4項目の記載も必要になります。

体験談とビフォーアフター写真の扱い

患者の体験談

省令第1条の9第1号に関するガイドラインの記述は明確です。患者その他の者の主観または伝聞に基づく、治療等の内容または効果に関する体験談を、当該医療機関への誘引を目的として紹介することは、医療広告としては認められないとされています。さらに、体験談の記述内容が広告可能な範囲であっても広告は認められないと明記されています。

一方で、個人が運営するウェブサイト、SNSの個人ページ、第三者が運営する口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が広告料等の費用負担などの便宜を図って掲載を依頼しているなど誘引性が認められない場合は、広告に該当しないとされています。逆に言えば、謝礼や割引と引き換えに書いてもらう運用は、この前提を崩す可能性があります。

治療前後の写真

省令第1条の9第2号に関しては、治療等の内容または効果について患者等を誤認させるおそれがある治療前後の写真等が認められないとされています。一律禁止ではなく、条件付きです。

  • 術前または術後の写真に、通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項、治療等の主なリスク・副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合は、これに当たらないとされています
  • 掲載場所には十分な配慮が必要で、説明をリンク先のページに置いたり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりする形式は採用してはならないとされています
  • 治療効果に関する事項は広告可能事項ではないため、限定解除の対象でない場合は、術前術後の写真等は広告できないとされています

ガイドラインが挙げる具体例は「術前または術後の写真やイラストのみを示し、説明が不十分なもの」です。写真と説明文は必ずセットで、同じ場所に、同等の視認性で置く。これが制作上の実務ルールになります。

品位を損ねる広告

ガイドラインは費用を強調した広告も品位を損ねる例として挙げており、期間限定の割引表示やキャンペーン表示、治療し放題プランといった文言が具体例として示されています。集患のために入れたくなる表現ほど、規制に触れやすいという構造があります。

発注前に確認するチェックリスト

  • 制作会社に限定解除の4要件を説明してもらう。説明できない場合、原稿の責任は医療機関側に全部残ります
  • 自由診療ページの雛形を見せてもらい、費用・治療期間・回数・リスクがどこに配置されるかを確認する
  • 掲載予定の写真について、一枚ごとに必要な説明文を誰が書くかを決める
  • 公開前チェックの担当と回数を契約に入れる。医師による内容確認の工程を工数として明示してもらう
  • 公開後にガイドラインが改正された場合の修正対応が、保守契約に含まれるかを確認する(月額保守費は何の対価か参照)
  • 公開前に、最新のガイドライン原文と所轄の保健所へ確認する

最後の項目は省略しないでください。ガイドラインは改正されます。この記事は令和6年3月22日最終改正版と令和7年度のネットパトロール資料を参照していますが、掲載可否の最終判断は必ず最新のガイドラインと所轄保健所にご確認ください。制作会社の選定基準そのものは発注先4パターンの比較も参考になります。

この記事の要点

  • 歯科・クリニックの制作費はテンプレート型10〜30万円、セミオーダー30〜100万円、フルオーダー100〜300万円が目安
  • 一般企業サイトより高いのは、医療広告規制への適合確認という工程が追加されるから
  • 限定解除は4要件をすべて満たす必要があり、③④は自由診療の場合に適用される
  • 患者の体験談は、記述内容が広告可能な範囲であっても医療広告としては認められない
  • 治療前後の写真は、治療内容・費用・主なリスクと副作用の詳細な説明を同じ場所に付すことが前提になる
  • 監視はネットパトロールとして実際に動いている。公開前に最新のガイドラインと所轄保健所へ確認すること

📎 参照した一次情報

数値は執筆時点の公表値です。制度・相場は変わります。契約前に必ず最新の一次情報をご確認ください。

よくある質問

Q クリニックのホームページ制作費用はなぜ一般企業より高いのですか。
A

医療広告規制への適合確認という工程が加わるからです。医療機関のウェブサイトは2018年6月施行の改正医療法により広告規制の対象になりました。掲載できる事項が限定されており、自由診療を扱う場合は治療内容・標準的な費用・治療期間と回数・主なリスクと副作用の記載が限定解除の要件になります。この原稿作成と確認に工数がかかり、その分が見積に乗ります。

Q 患者さんの喜びの声をホームページに載せてもよいですか。
A

医療広告ガイドラインでは、患者その他の者の主観または伝聞に基づく、治療等の内容または効果に関する体験談は医療広告として認められないとされています。記述内容が広告可能な範囲であっても認められないと明記されています。一方で、医療機関が費用負担などの便宜を図らずに第三者の口コミサイトへ書かれたものは、誘引性が認められない場合は広告に該当しないとされています。個別の判断は所轄の保健所にご確認ください。

Q ビフォーアフター写真は一切掲載できないのですか。
A

一律禁止ではありません。ガイドラインでは、誤認させるおそれがある治療前後の写真等が認められないとされたうえで、術前または術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、主なリスク・副作用等に関する詳細な説明を付した場合はこれに当たらないとされています。ただし説明をリンク先のページに置いたり、極端に小さな文字で掲載したりする形式は認められません。

Q 制作会社が医療広告ガイドラインに詳しいかどうか、どう見分けますか。
A

限定解除の4要件を説明できるか、自由診療のページに費用・治療期間・回数・リスクをどう配置するかを具体的に答えられるかを聞いてください。「ガイドライン対応済み」とだけ言って中身を説明しない場合は注意が必要です。なお最終的な責任は医療機関側にあります。制作会社の確認に加え、公開前に最新のガイドライン原文と所轄保健所に確認する体制をとってください。

あわせて読む

無料でサイトの上位版をもらう ›