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発注ラボ HATCHU LAB
解約・乗り換え #ドメイン移管#Whois#サーバー#著作権

ドメイン・サーバー・サイトデータを取り戻す|名義確認から移管までの手順

ドメインの登録者名義を自分で確認する方法、移管に必要な認証コード、名義が制作会社の場合の交渉、ドメインを諦める場合の判断基準、著作権とソースコードの帰属まで、乗り換え前に押さえる実務をまとめます。

公開 約6分で読めます 発注ラボ 編集部

制作会社を変えたいのに動けない理由の大半は、ドメイン、サーバー、制作データのどれかが自社の手元にないことです。逆に言えば、この3つの現状を把握すれば、乗り換えの難易度はその日のうちに見積もれます。

作業は5分で始められます。まず自社ドメインの登録情報を検索して、名義が誰になっているかを見る。そこからすべての判断が分かれます。順に手順を示します。

まず登録者名義を自分で確認する

gTLD(.com、.net、.orgなど)の場合、ICANNが提供する登録データ検索サービス(lookup.icann.org)でドメイン名を検索します。ICANNは、検索結果の「Registrar」欄で現在の登録事業者が分かると案内しています。

JPドメイン名(.jp、co.jpなど)の場合は、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)が提供するWhois検索で登録者情報を確認します。

確認する項目は次の3つです。

  • 登録者名(Registrant / 登録者名):自社名か、制作会社名か、担当者個人名か
  • 登録事業者(Registrar / 指定事業者):どの事業者を通じて登録されているか
  • 有効期限(Expiration Date / 状態):いつまで有効か。更新が近くないか

近年は個人情報保護のため登録者の詳細が非表示になっていることがありますが、登録事業者は表示されるのが通常です。有効期限が数か月以内に迫っている場合は、交渉の前にまず更新の確認を優先してください。失効すればドメイン自体を失う可能性があります。

ドメイン移管に必要なもの

登録事業者を変更する手続には、認証コードが必要です。

JPドメイン名の場合、JPRSは「認証コード(AuthCode)」を、指定事業者変更の申請者が登録者本人または申請権限委任者であることを確認するために利用するドメイン名ごとのパスコードと説明しています。手続の流れは、登録者が現在の指定事業者に認証コードを確認し、現指定事業者がJPRSに発行を依頼、通知された認証コードを使って変更先の指定事業者に申し込む、という順序です。認証コードの有効期限は、JPRSが認証コードを生成した日の翌日を1日目とした35日後の23時59分59秒とされています。

gTLDの場合、ICANNはAuth-Code(AuthInfoコード)について、登録事業者は請求から5暦日以内に提供しなければならないとしています。また、登録者名・組織名・メールアドレスを変更してから60日以内は他の登録事業者へ移管できないこと、直近の移管から60日以内の移管請求は拒否される場合があることも案内されています。

つまり、名義変更と移管を同時に急ぐと、かえって時間がかかる場合があります。順序と期限を先に設計してください。

確認項目 gTLD(.com等) JPドメイン名
登録情報の検索 lookup.icann.org JPRSのWhois検索
移管に必要なもの Auth-Code(AuthInfoコード) 認証コード(AuthCode)
コードの提供・期限 請求から5暦日以内に登録事業者が提供 生成日の翌日から起算して35日後まで有効
移管の制限 登録者情報の変更後60日、直近の移管後60日の制限がある 指定事業者変更は現指定事業者への意思確認を経て処理される

名義が制作会社になっている場合の交渉

登録者が制作会社名義だった場合、あなたは自分でドメインを動かせません。ここからは交渉になります。

交渉は必ずメールなど記録が残る形で行い、次の項目を具体的に書いてください。

  • 登録者名義を自社に変更すること、または認証コードを発行すること
  • 対応の期限(例:2週間以内)
  • サーバー上の制作データ(HTML、CSS、画像、原稿、データベース)の引き渡し
  • 引き渡しの形式(ZIP、データベースのダンプファイル等)
  • メールアドレスを同ドメインで運用している場合の移行手順

相手が費用を求めてきた場合は、その根拠となる契約条項の提示を求めます。契約書に定めがない費用については、金額の算定根拠を示してもらってください。請求の妥当性の検討方法は違約金を請求されたときの妥当性チェックで扱っています。

交渉が行き詰まった場合、事業者間の取引については中小企業庁の取引かけこみ寺が無料で相談に応じています。企業間取引に詳しい相談員や弁護士が対応し、秘密は厳守されるとされています。

ドメインを諦める場合の判断基準

すべての交渉が成立するわけではありません。旧ドメインを手放して新ドメインで作り直す判断もあり得ます。その場合に検討すべき項目です。

  • 検索からの流入:現在、検索経由のアクセスが問い合わせにどれだけ寄与しているか。寄与が小さければ失うものも小さい
  • リダイレクトの可否:旧ドメインを保持できないなら、301リダイレクトによる転送という一般的な手段自体が使えない
  • 印刷物の量:名刺、封筒、パンフレット、看板、車両、既存のチラシ。刷り直しの実費を見積もる
  • メールアドレス:同ドメインでメールを運用している場合、取引先への周知と各種サービスの登録変更が発生する
  • 外部登録:地図サービス、業界ポータル、求人媒体、SNSプロフィールに記載したURL
  • 被リンク:他社サイトや行政のページから旧URLにリンクされている場合、それらは引き継げない

この6項目を書き出して合計の負担を見積もり、交渉にかける時間と費用と比べてください。新ドメインでの作り直しが合理的な場合は確かにあります。ただし、判断してから動くことが重要です。

著作権とソースコードの帰属を契約書で確認する

データを受け取れることと、それを自由に使えることは別です。

著作権法第61条第1項は著作権の全部または一部の譲渡を認めていますが、第2項は、譲渡契約において第27条(翻訳権、翻案権等)または第28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は譲渡した者に留保されたものと推定する、と定めています。

第27条は翻案、つまり改変に関わる権利です。契約書に「本件成果物の著作権は甲に譲渡する」とだけ書かれている場合、改変に関わる権利の扱いが推定規定によって左右される可能性があります。将来、既存のサイトを土台に作り替えるつもりなら、この記載は実務上重要です。

契約書で確認する箇所は次のとおりです。

  • 著作権の譲渡条項に、第27条・第28条の権利が明記されているか
  • 納品物の定義に、ソースコードと制作データが含まれているか
  • 写真・イラスト・フォントなど第三者素材のライセンスがどう扱われているか(使用許諾が制作会社に紐づいている場合、引き継げないことがあります)
  • 著作者人格権の不行使に関する定めがあるか

第三者素材の扱いは見落とされがちです。素材を引き継げない場合、差し替えの作業と費用が発生します。この点も含めた乗り換え全体の段取りは制作会社の切り替えに、契約構造そのものの問題はホームページのリース契約の構造にまとめています。

この記事の要点

  • 最初にやるのは登録者名義の確認。gTLDはlookup.icann.org、JPドメイン名はJPRSのWhois検索で調べられる
  • 移管には認証コードが必要。JPドメイン名の認証コードは生成日の翌日から起算して35日間有効とされている
  • gTLDでは登録者情報の変更後60日、直近の移管後60日の移管制限があるため、手続の順序を先に設計する
  • 名義が制作会社の場合、求める内容と期限をメールで具体的に書面化して交渉する。行き詰まったら取引かけこみ寺に相談できる
  • データを受け取れることと自由に改変できることは別。著作権法第61条第2項の特掲の有無と、第三者素材のライセンスを契約書で確認する

📎 参照した一次情報

数値は執筆時点の公表値です。制度・相場は変わります。契約前に必ず最新の一次情報をご確認ください。

よくある質問

Q 自分のドメインの名義はどうやって確認できますか。
A

gTLD(.comなど)の場合、ICANNが提供するlookup.icann.orgで検索すると、現在の登録事業者(Registrar)などの情報を確認できます。JPドメイン名については株式会社日本レジストリサービス(JPRS)のWhois検索で登録者情報を確認できます。近年は個人情報保護のため登録者の詳細が非表示になっている場合がありますが、その場合でも登録事業者は表示されるのが通常です。表示された事業者に問い合わせれば、契約者が誰かの確認手続に進めます。

Q 制作会社がドメインを渡してくれない場合はどうすればいいですか。
A

まず、登録者名義が実際に誰になっているかを確認してください。自社名義であれば、登録事業者に対して自社が契約者として手続を進められる可能性があります。制作会社名義の場合は、名義変更または移管について交渉が必要です。交渉はメール等の記録が残る方法で行い、求める内容(認証コードの発行、登録者名義の変更、移行期限)を具体的に書面化してください。応じられない場合の対応は、契約書の条項と事情によるため、専門家への相談が必要です。

Q ドメインを変えるとSEOはどうなりますか。
A

ドメインを変更すると、それまでのURLで蓄積された評価が新しいURLに自動的に引き継がれるわけではありません。旧ドメインを保持できる場合は301リダイレクトによる転送設定が一般的な対応ですが、旧ドメインを使えない状況ではこの手段自体が取れません。加えて、名刺・封筒・看板・チラシ・登録済みの各種サービスに記載されたURLとメールアドレスの変更も必要になります。影響の大きさは、現在の流入経路と印刷物の量によって変わります。

Q ソースコードは引き渡してもらえますか。
A

契約書の定め次第です。納品物としてソースコードや制作データの引き渡しが明記されていれば、それに基づいて請求できます。明記がない場合は交渉になります。また著作権法第61条第2項は、譲渡契約において第27条・第28条の権利が譲渡の目的として特掲されていないときはこれらの権利が譲渡人に留保されたものと推定する、と定めています。データを受け取れることと、それを自由に改変・再利用できることは別問題である点に注意が必要です。

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