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発注ラボ HATCHU LAB
被害と手口 #リース契約#提携リース#ホームページ制作#中小企業

ホームページのリース契約はなぜ解約できないのか|三者間契約の構造と確認点

制作費が「月々◯万円のリース」になっている契約は、相手が制作会社ではなくリース会社です。三者間契約の構造、総支払額の計算、事業者間取引でクーリング・オフが原則使えない理由を条文から整理します。

公開 約7分で読めます 発注ラボ 編集部

ホームページの制作費が「月々◯万円」の支払いになっていて、その請求元が制作会社ではなくリース会社や信販会社になっている。この形になっている契約は、多くの場合、途中でやめられません。理由は相手が不親切だからではなく、契約の構造がそうなっているからです。

やるべきことは一つです。契約書と申込書を出して、当事者欄・契約期間・中途解約条項の三か所を読む。ここを読めば、自分が結んだのが制作の契約なのか、金融の契約なのかが分かります。この記事では、その読み方と、なぜこの構造が成立するのかを整理します。

ホームページのリース契約は三者間契約になっている

通常の制作発注は、発注者と制作会社の二者契約です。これに対して、制作費をリースや信販の分割払いに乗せる契約は、当事者が三者になります。複数の弁護士会の意見書では、この形態は「提携リース」と呼ばれています。

登場する当事者 果たす役割 あなたとの契約関係 お金の流れ
サプライヤー(販売・制作会社) 勧誘、提案、申込書の記入案内、実際の制作 リース契約の当事者ではないことが多い リース会社から一括で代金を受け取る
リース会社・信販会社 契約の相手方。物件の所有者 あなたが署名したリース契約の当事者 あなたから毎月リース料を受け取る
あなた(ユーザー) リース料を支払う リース会社と契約している 毎月、契約期間の満了まで支払う

札幌弁護士会の意見書(2011年10月31日)は、この取引について「勧誘から契約締結までの過程のほとんどをサプライヤーが代行」し、契約当事者であるリース会社とユーザーが直接接触する機会はほぼないと指摘しています。

つまり、あなたが話し、信頼し、不満を持っている相手(制作会社)と、毎月お金を請求してくる相手(リース会社)は別の会社です。制作会社に「解約したい」と言っても契約は止まりません。リース会社は「当社は勧誘に関与していない」と立場を説明することがあります。この分断こそが、この構造の核心です。

「月々2万円」が5年でいくらになるかを自分で計算する

リース契約では、月額とは別に「リース料総額」または「契約期間(回数)」が必ず記載されています。まずこれを掛け算してください。

月額リース料 契約期間 支払回数 リース料総額
15,000円 3年 36回 540,000円
20,000円 5年 60回 1,200,000円
30,000円 5年 60回 1,800,000円
35,000円 6年 72回 2,520,000円

この金額が、あなたが最終的に支払う金額です。月額だけを見ていると規模感がつかめませんが、総額で見ると別の数字に見えてきます。

ここで注意すべきは、この総額が高いか安いかを、この記事が判定することはできないという点です。サイトの規模、ページ数、システムの有無、保守の内容によって妥当な金額は変わります。総額を出したら、その金額で何を受け取っているのかを見積書の内訳の読み方と照らして分解し、保守費に何が含まれるかも別立てで確認してください。総額と成果物の対応が説明できなければ、そこが交渉の出発点になります。

リース契約とされることの法的な意味

リース契約、とくにファイナンス・リースと呼ばれる形態では、リース会社が物件を購入してユーザーに使わせ、ユーザーは契約期間を通じて物件代金相当額と諸費用を支払います。リース会社から見れば、支払総額の回収を前提に一括で代金を立て替えた取引です。

このため契約書には、中途解約を認めない旨、または中途解約する場合に残存リース料相当額を一括で支払う旨の条項が置かれているのが通例です。札幌弁護士会の意見書も、リース会社が「リース契約上、中途解約は認められない」と主張する実態を記載しています。

重要なのは、この条項が制作物の品質とは切り離されて機能することです。サイトの出来に不満があっても、それはサプライヤーとの間の問題であり、リース会社への支払義務とは別だ、という整理がされやすい。サイト自体の作り直しや乗り換えを検討する場合も、支払義務の話とは分けて考える必要があります。乗り換えの手順そのものは制作会社の切り替えで扱っています。

ホームページという無体物にリースを使うことの論点

リースはもともと、複合機や電話機のような有体の動産を想定した取引です。ホームページは形のない制作物であり、著作物としての側面もあります。ここに争点が生まれます。

弁護士会の意見書が取り上げた事例には、ホームページ作成という役務提供契約をソフトウェアのリースの形式で締結させたケースが含まれています。契約書上の「リース物件」が、サーバー機器なのか、ソフトウェアなのか、制作されたデータなのかによって、何に対して対価を払っているのかの説明は変わります。

契約書のリース物件欄に何が書かれているかは、必ず確認してください。物件の内容が特定されていない、または実際に納品されたものと記載が食い違う場合、その点は交渉や相談の場で説明を求めるべき事項になります。

なお、公益社団法人リース事業協会は、小口リース取引について自主規制規則を定め、会員会社に対して小口リース取引の健全化を求める取り組みを公表しています。同協会は小口リース取引に関する相談窓口の一覧も掲載しており、契約先のリース会社の窓口を確認する手がかりになります。

事業者間契約でクーリング・オフが原則使えない理由

ここが、この問題の最も冷たい部分です。

特定商取引法第26条第1項第1号は、売買契約または役務提供契約で「その申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結するもの」等について、訪問販売・通信販売・電話勧誘販売の規定を適用しないと定めています。会社や事業主として、事業のために契約したと評価される場合、訪問販売や電話勧誘販売のクーリング・オフ規定は原則として及びません。

同じ構造は割賦販売法にもあります。個別信用購入あっせんに関する適用除外(第35条の3の60)にも「営業のために若しくは営業として」という同趣旨の文言があり、事業のための個別クレジット契約には消費者保護の規定が原則として及ばない設計になっています。

ただし、適用除外が自動的に成立するわけではありません。消費者庁は特定商取引法ガイドのQ&Aで、「お金を稼ぐといった利益活動を行う意思があることのみをもって、『営業のために若しくは営業として締結するもの』に直ちに該当すると解されるものではありません」と説明しています。契約名義が事業者であっても、実態として事業の遂行と評価できるかは個別に判断されます。自分の事案がどちらに寄るかは、勧誘の経緯と契約の目的次第です。断定はできません。

「リース会社一覧」を探しても答えは出ない

「ホームページ リース会社 一覧」という調べ方をする人は多いのですが、社名のリストからは自分の契約の性質は分かりません。同じリース会社が関わっていても、勧誘したサプライヤーも契約内容も一件ごとに違うからです。

代わりに、手元の書面を次の順で読んでください。

  • 契約書の当事者欄:あなたの契約の相手方は誰か。制作会社か、リース会社か、信販会社か
  • リース料総額と契約期間:月額×回数の総額と、満了日はいつか
  • 中途解約条項:解約不可と書かれているか、残存リース料の一括請求と書かれているか
  • リース物件欄:何がリース物件として特定されているか。実際の納品物と一致するか
  • 連帯保証人欄:代表者個人が保証人になっていないか
  • 検収書・物件受領書:いつ、誰が、何を受け取ったとして署名したか
  • 申込書の控え:控えを受け取っているか。署名時に空欄だった箇所はないか
  • 別紙・特約:保守契約やドメイン管理が別契約になっていないか

この7点を書き出すだけで、相談先に持ち込める材料がそろいます。次に取れる行動の選択肢はリース・長期契約から抜けるルートに、契約が詐欺に当たるのかという疑問の整理は「詐欺かもしれない」と思ったときの7つの確認点にまとめています。

この記事の要点

  • 制作費がリースになっている契約は三者間契約であり、請求元のリース会社と、勧誘した制作会社は別の当事者である
  • 月額×回数でリース料総額を計算し、その金額で何を受け取っているのかを見積の内訳と突き合わせる
  • 中途解約を制限する条項は、制作物の品質とは切り離されて機能するのが通例である
  • 特定商取引法第26条第1項第1号により、営業のために締結した契約にはクーリング・オフが原則として及ばない。ただし適用除外の該当性は個別判断であり、結論を断定することはできない
  • 調べるべきは会社名のリストではなく、当事者欄・総額・中途解約条項・リース物件欄という契約書の具体的な記載である

📎 参照した一次情報

数値は執筆時点の公表値です。制度・相場は変わります。契約前に必ず最新の一次情報をご確認ください。

よくある質問

Q ホームページの制作費をリース契約にすることは違法ですか。
A

リース契約の形式そのものを一律に禁じる法律は、確認できる範囲では存在しません。ただし複数の弁護士会は、勧誘から契約締結までをサプライヤー(販売会社)が代行し、リース会社と利用者が直接接触しないまま中途解約禁止の長期契約が成立する「提携リース」の構造について、立法による規制を求める意見書を公表しています。適法か違法かではなく、個々の勧誘に不実の告知や説明義務違反がなかったかが争点になります。判断は契約内容と勧誘の経緯によるため、弁護士等への相談が必要です。

Q 契約書に「リース」と書いてあれば必ずリース契約ですか。
A

契約書の表題だけでは決まりません。重要なのは、当事者が誰か(支払先がリース会社や信販会社になっていないか)、リース物件として何が特定されているか、中途解約に関する条項がどう書かれているか、の三点です。ホームページは形のない役務や著作物であり、これをリース物件としてどう特定しているかは契約書ごとに異なります。まず契約書と申込書の原本を並べ、署名した書面の当事者欄を確認してください。

Q クーリング・オフは使えますか。
A

特定商取引法第26条第1項第1号は、申込者や購入者が「営業のために若しくは営業として締結するもの」を適用除外としています。事業として契約したと評価される場合、訪問販売・電話勧誘販売のクーリング・オフ規定は原則として及びません。ただし消費者庁は、利益活動の意思があることのみで直ちに適用除外に該当するとは解されないとしています。名義が事業者でも実態が事業用でない場合の扱いは個別判断になります。

Q 「リース会社の一覧」を調べれば危険な会社が分かりますか。
A

社名のリストで安全性を判定することはできません。同じリース会社が関わる契約でも、勧誘したサプライヤーや契約内容によって事情はまったく異なります。判断材料になるのは社名ではなく契約書です。契約の当事者、リース料総額、契約期間、中途解約条項、リース物件の特定方法、保証人欄の有無を確認するほうが、自分の契約の性質を正確に把握できます。

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